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日常を書き殴る!
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    長年の愛煙家であった僕が禁煙に臨み脱タバコをしたのは1年程前のことだ。
    そして脱禁煙をしタバコを吸い始めたのは2ヶ月ほど前のことだ。

    ボックスタイプの箱を開け、残りが3~4本になる頃に次のタバコは買うまいと決意する。
    そして残りが1本になる頃に次のタバコを買いに行く準備をする。

    世の中、上手に生きていくにはコツがいる。それはいろんなことをできるだけ早く忘れることだ。

    いつものコンビニでタバコを買い、店を出る時に「自分は駄目な人間だな」などと、自嘲しながら買ったばかりのタバコを一本取り出し火を付ける。

    当然のことだが吸ってはいけない場所ではタバコは吸わない。外で吸うことがあってもポイ捨てはしない。ルールさえ守りさえすれば誰からも咎められることはないし、その筋合いもない。

    夜中の2時過ぎだと言うのに一向に眠気がない。箱の中には1本のタバコ。いつものコンビニに行くために上着を着て、部屋を出た。

    アパートの入り口で住居人と思われる男がドアを開けてアパートに入ってこようとしている。その男はかなり深酒をしたらしく入り口のドアを開けるときにも前を見れない状態だったようで僕にはまるで気が付いてない様子だった。すれ違い様に何の気なしに男の様子を伺った。2年以上このアパートに住んでいるが全く見覚えのない顔だ。

    そう思ったが、その男は1階の廊下を奥へと歩いて行った。僕の部屋は1階の角だ。同じ階に住みながら見覚えのない顔。それとも何度もすれ違っているのに覚えていない顔なのか。

    数十メートル歩くといつものコンビニに辿り着く。

    この時間は大抵2人の店員がいる。1人は30代後半と言ったところと思しき坊主でメガネの店員だ。求めてはいないが愛想はない。もう1人はこの店のオーナーと思われる40代半ばと言ったところで感じの良い中年男性だ。

    店長は愛煙家だ。深夜と言うこともあるからだろうが、コンビニの制服を脱いで、店の前の灰皿が置いてあるところでタバコを吸っていることがある。そんな時に僕がコンビニに行くと店長はバツの悪さから来るものなのかどうかは分からないが僕に背中を向けて気がついていないフリをしている。

    コンビニの制服を脱いだ店長は”店長”ではない訳だからタバコくらい自由に吸えば良い。タバコを吸っても良い場所で吸っているし、ましてや灰皿もある。誰にも咎められることなどないしその筋合いもない。僕は、僕に気がつかないフリをしている店長に気が付かないフリをしながらコンビニに入りいつものタバコを買う。そして店を出て自嘲も済ましたらタバコに火を付け、家に帰る。

    ある時、僕がコンビニに入りいつものタバコの番号を告げようとすると、店長がタバコの陳列されている棚を何度か指差し、何かを思い出そうとしている素振りをした後、すぐに僕の吸う銘柄を差し出してくれた。メガネの店員並みに愛想のない僕は番号を告げる前に差し出されたタバコのお金を払い軽く会釈をし店を出る。

    どうやら僕は店長にとって"見覚えのある顔"になったようだ。毎日、何人もの客が訪れるであろう客の中で何の変哲もなく特別個性的でもない僕のことを覚えてくれてタバコの銘柄まで覚えていてくれていたことは正直嬉しかった。店を出る時にお決まりの自嘲とは別な微笑を浮かべながらタバコに火を付けた。

    僕は一年前、何故タバコを辞めようと思ったのだろうか。ここのところ忙しさを言い訳にして、何も考えない時間を作り過ぎたようだ。いろんなことを思い出さないといけないような気がしてならない。

    タバコを辞めるにあたって何か大きな理由があった訳ではなかったし、大きなキッカケがあった訳でもなかった。ずっと辞めたいと思っていた。何度も禁煙にチャレンジしたが尽く失敗に終わっていた。その度に「またしばらくしたら禁煙に挑戦しよう」などと思って何度も何度も繰り返した。何度も同じ失敗を繰り返したが自嘲などはなかった。諦めてなかったから。

    そして一年前、ようやく禁煙に成功した。あの時は意外にあっさりとタバコを断つことができた。タバコなんてなくても全然平気だってことに気が付いた。仕事中にタバコが吸いたくてイライラすることもなくなったし、外出時に余計に火の元の心配をしなくて済むようになったし、階段を上っても息切れもしなくなった。本当に良いことがたくさんあった。

    それなのに何故、今また同じ失敗を繰り返してしまったのか。今回は何が失敗だったのか。
    そもそもまたタバコを吸い始めた原因は何だったのだろうか。

    僕は覚えている。記憶を探る必要もない。忘れようとしているけど本当は覚えている。タバコを辞める理由とキッカケを忘れようとしたことが原因だ。そうすることが僕にとって都合の良いことだったのだろう。いろんなことを忘れることが楽な生き方だ、なんて思ってしまっていたのだろう。

    少し振り返ってみて僕はとてつもなく大きな失敗をしてしまったような気がして仕方がなく不安な気持ちになった。タバコを吸ってしまったことなんてたいした失敗じゃない。僕は自分のルールを守ってない。

    何でもかんでも忘れようとした生き方で楽だった。辛いことがあっても忘れるようにすることで何でもヘッチャラになった。これが大人になるってことなんだって自分に言い聞かせ、思考を停止させた。

    同じアパートの住人の顔も思い出せないほどになってしまった僕は自分を嘲ても良いのか。世の中、上手に生きていくにはコツがいる。それはもう良い。それはなんとなく分かったような気がするから。

    僕はまたタバコを辞めようと思う。正直自信がない。また失敗するかも知れない。だけどもう自嘲はしない。そして忘れたフリはもうしない。

    番号を告げることなく手元にあるタバコに目をやって思った。いろんなことを覚えていて、いつでも思い出せるようにしておくことで、誰かにほんの少しの微笑みを与えてあげられるかも知れない。

    幸せになるためのコツの一つなのではないだろうか。
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